ホームスタートの歴史

History

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1973年、イギリスではじまった
ホームスタート

マーガレット・ハリソン女史

ホームスタートは、イギリスのレスターで1973年に始まりました。当時、マーガレット・ハリソンさんは、3人の子どもを育てながら、支援センターのボランティアをしていました。来所する多くの親が、同じ親として話しやすい彼女のもとにやって来るようになり、家でもっとゆっくり話をしたいと誘われ、各家庭を訪問するようになりました。専門的な資格も権威も持たない彼女は、友人のように一緒に過ごし、家事や育児に手を貸し、時には笑い話をすることもありました。多くの親が、自分自身の状況をわかってくれる人を求めていたのです。一年ほど経ち、他の人でも訪問できるようにと、「当事者性」と「素人性」を活かした訪問子育て支援ボランティア「ホームスタート」が始まりました。

ブレア政権の時代に「児童は人生の最良のスタートをきるべきである」という理念のもと「Sure Start」プログラムが始まり、ホームスタートのアウトリーチ支援はイギリス全土へ普及が加速していきました。
現在では、イギリスの182地域で、1万人以上のボランティアが38,000家庭を訪問支援するまでに至り、アレクサンドラ王女がPatronとしてホームスタート活動を支援しています。

世界22カ国でホームスタートの
仕組みを活用

世界では、22ヶ国でホームスタートの訪問支援がひろがっています。
途上国でも先進国でも、育児の大変さは同じです。
乳幼児期に親に寄り添う訪問支援が質を担保する仕組みを用いて実践されています。

イギリス/アイルランド/フランス/オランダ/ベルギー/デンマーク/ノルウェー/ギリシャ/マルタ/チェコ/ ハンガリー/ポーランド/ルーマニア/ウガンダ/タンザニア/ザンビア/ブルンジ/南アフリカ/カナダ/
オーストラリア/スリランカ/日本

  • スリランカでの訪問の様子

  • イギリスでの訪問の様子

  • ノルウェーでの訪問の様子

ホームスタート・ワールドワイド

1980年代には、イギリスから他国へと伝播し始め、海外でのホームスタート活動をサポートするための組織「ホームスタート・インターナショナル」が設立されました。やがて、22ケ国に広がり、各国のネットワーク組織「ホームスタート・ワールドワイド(HSW)」に進化し、3年に1度、グローバル・カンファレンスを開催するなど、互いに学び合い、支援の質を高め合っています。ホームスタート・ジャパンは、HSWの一員として、理事を輩出しています。

※HSWでは資金援助などは行っておらず、各国の組織は独自に資金を得て実践しています。

日本でのホームスタートの
広がり

2006年から日本での研究が始まりました。
その後イギリスやーオーストラリアへの視察を経てホームスタートの試行が始まり、
2009年13地域で活動を立上げ、2023年10月現在約120地域まで活動を広げてきました。

これならボランティアでも安心して訪問できる!

日本では、子育てひろばと呼ばれる拠点が各地に広がる中、「ここに来ることができない親子を訪問できたら」という声が支援者の間で多く聞かれるようになっていました。けれども、家庭訪問は保健師等の専門職によるものばかりで、民間団体が始めるにはとても高いハードルがありました。そんな頃、イギリスにHome-Startという訪問支援があることを知り仲間が集い、2006年に任意団体のホームスタート・ジャパンを設立し、現地調査に着手しました。(写真:2008年オーストラリア訪問時)

日本版のホームスタートの開発と試行

無償ボランティアによる訪問支援は日本でも可能なのか?ー助成金を得て、2007-8年に試行検証に取り組みました。ボランティアから「無償が自然で、自分も楽しく過ごせる活動」という声を、そして、利用家庭からは「安心して利用できるし、子育て中はこんな支援が必要」という声をいただき、99%のニーズに効果ありという結果を得ることができました。日本での普及に向けて、2009年には活動マニュアルを完成し、初のオーガナイザー養成研修開催を経て、13地域で活動が始まりました。

32都道府県の約120地域で活動、1万4千家庭にのべ10万回の訪問実績

  • 2006

    任意団体ホームスタート・ジャパン設立(Home-Start International認証)

  • 2007

    Home-Start UKの協力を得て本格的に実地調査開始。1地域で試行開始。

  • 2008

    試行版を改良し4地域で試行。日本でのニーズと有効性を確認。

  • 2009

    日本版HS活動マニュアルの完成。13地域で立上がり、初のオーガナイザー養成研修を実施。特定非営利活動法人(NPO法人)認証。

  • 2010

    日本子ども虐待防止学会にて分科会初発表。

  • 2011

    東日本大震災被災地支援のため、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとの協働事業開始。

  • 2012

    「イオン×セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン被災地子ども支援ファンド」により、岩手・宮城・福島で普及活動。全国42地域に拡大。

  • 2013

    エリア別協議会発足(東北/関東/中央/九州)

  • 2015

    83地域に拡大。HS活動マニュアル第二版完成。産前サポート試行事業開始。

  • 2016

    熊本地震のための救援物資と募金集め。健やか親子21・健康寿命をのばそう!AWARD 母子保健分野「厚生労働大臣最優秀賞」受賞。

  • 2017

    ホームスタート世界会議を東京で開催、海外20ケ国から47名、国内から1,019名が参加。産前産後HS活動マニュアル完成。

  • 2018

    全国100地域に広がり、訪問回数は累計で6万2千回超に。

  • 2019

    多胎家庭・外国人家庭への支援拡充プログラム開発。やさしい日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語のツール作成。10周年記念フォーラムを開催。

  • 2020

    新型コロナ感染予防対策を取りつつ、年間約1万回訪問。学齢児家庭訪問のためのプログラム開発開始。

  • 2021

    10周年記念冊子『いっしょにいるよ。』完成。

  • 2022

    HS活動マニュアル第三版に改良。外国人家庭の子育て支援講座の開発とインストラクター養成。ウクライナ避難民支援緊急募金を実施。ポーランドのホームスタート団体に提供し避難民の子どもたちを支援。

全国どこでも使えるホームスタートを目指して

2023年、ホームスタートは「10年計画・3年戦略」と題した中期計画を定めました。
3年後に145地域、10年後に300地域に広げるという目標を掲げ、今後さらに普及に力を入れていく方針です。

ご寄付のお願い 私たちとともに
幸せなスタートを
届けませんか?

私たちは、ホームスタートの全国普及を目指して活動を続けています。ホームスタートの仕組みを持続的に発展させていくためには、皆様からのご支援が必要です。私たちといっしょに、地域のつながりの中で子どもが幸せに育つ社会の実現を目指しませんか。